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武蔵社会学論集 : ソシオロジスト 「The Sociologist : Journal of the Musashi Sociological Society」 >
2007年度・2008,No.10 >

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タイトル: 親密性と共在・覚書 : グレゴリー・コルベール「Ashes and Snow」展によせて
その他のタイトル: Intimacy and Co-existence : inspired by Gregory Colbert's "Ashes and Snow"
著者: 矢田部, 圭介
YATABE, Keisuke
発行日: 2008年3月22日
出版者: 武蔵社会学会
抄録: 写真家・映像作家グレゴリー・コルベールは,非常に近い距離で居合わせる動物と人間とをとらえた作品によって,私たちに,動物と人間との親密な関係性を感じさせてくれる。本稿の目的は,こうしたコルベールの作品をとおして,親密性という発想の可能性を検討することにある。 斎藤やシュッツの親密性についての議論を参照すれば,他者を親密な対象として経験するということは,人称性にもとづいた代替不可能性において他者を経験するということであり,これは,他者を類型化するという指向性を前提にしてはじめて可能であることが分かる。 しかし,コルベールの作品に非常に多く登場しこれを特徴づける眠りというふるまいは,こうした他者への指向性が極小であるような状態である。つまり私たちは,コルベールの作品のなかに,指向性にもとづく人称的な代替不可能性としての親密性は読みとりがたいはずなのだ。それでは,そこに私たちが読みとってしまっているものは何であるのか。 それは,コルベールの作品を,お互いに何者でもなく,ただ,いまここに居合わせている状態としての「共在」という事態を描き出す試み,ととらえることで見えてくる。私たちは,この「共在」という事態に,特定のいまここに共に在ることにもとづく代替不可能性としての共在をみいだすことができる。コルベールの作品から示唆されるのは,こうした共在という水準での他者の取り替えがたさだといえるだろう。
URI: http://hdl.handle.net/11149/261
出現コレクション:2007年度・2008,No.10

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