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武蔵社会学論集 : ソシオロジスト 「The Sociologist : Journal of the Musashi Sociological Society」 >
2004年度・2005,No.7 >

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タイトル: スウェーデンにおける成人教育の振興
その他のタイトル: The Swedish Government's Promotion of "Active Education Policy"
著者: 大村, 好久
OOMURA, Yoshihisa
発行日: 2005年3月10日
出版者: 武蔵社会学会
抄録: 世界的な視野でみれば今日,義務教育の普及さえも不十分な開発途上国が少なくない現実ではあるけれども,近代国家の形成とともに義務教育制度をつくりあげて百年を超える先進諸国は,世紀の転換にあたり,義務教育修了後の,そして後期中等教育修了後,あるいは中退後の社会人・成人の学習や教育の問題に直面している。社会人・成人にかかわる学習や教育の問題は,かつて1970年代頃からは“リカレント教育”などとして西欧諸国において展開されてきていたが,90年代にかかると,“生涯教育”“生涯学習”として職業・職場にとどまらない大衆自身の知識・教養の底上げの潮流として,いよいよその勢いを増してきた。 世紀末からのこのような潮流をさらに一段と強力に進めることに/進めざるを得なくなったのは,西欧諸国のなかでもとくに福祉国家としてのスウェーデンであった。スウェーデン政府は1997年7月に,“Kunskapslyftet”(Adult Education Initiative)と称する国家政策を5ヵ年計画で開始した。この論文においてはその概容を把握することに主眼を置くが,本論の展開の前に,社会人・成人の学習・教育はどのような特性を持っているものなのか/持たざる得ないものであるのか,このことに関して,あらかじめ若干の考察をしておき,スウェーデンにおける「成人教育イニシアチブ」政策の導入と展開,意義について述べる。この場合,「成人教育イニシアチブ」とは何かが理解されなければならないので,国民向けのその政策要綱を翻訳して添える。 「成人教育イニシアチブ」政策は,福祉国家としてのスウェーデンにおいて「生涯学習」の推進にかかわるものであるが,単一目的の政策ではなく労働市場政策や地域政策ほか,いくつかの国家政策を調整する公共政策の総合的な結節点として位置づけられている。この政策は失業率の改善を目指すとともに,住民密着の行政サービスをなお一段と地方自治体に委ねる分権志向の具体化であり,かつまた,21世紀を「知識社会」として構築する構造改革をも視野に置く政策として,新機軸の「積極的教育政策」とされる。
URI: http://hdl.handle.net/11149/233
出現コレクション:2004年度・2005,No.7

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