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武蔵社会学論集 : ソシオロジスト 「The Sociologist : Journal of the Musashi Sociological Society」 >
2017年度・2018,No.20 >

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タイトル: 2つの断絶に橋を架ける─リアス・アーク美術館「東日本大震災の記録と津波の災害史」展─
その他のタイトル: Bridge over Two Discontinuities : Rias Ark Museum of Art “Documentary of the Great East Japan Earthquake and History of Tsunami”
著者: 矢田部, 圭介
YATABE, Keisuke
発行日: 2018年3月22日
出版者: 武蔵社会学会
抄録: 本稿は,東日本大震災の記録展示として重要な位置を占めるリアス・アーク美術館の常設展示「東日本大震災の記録と津波の災害史」の概要を紹介するものである。気仙沼市の西の高台にたつリアス・アーク美術館は,東日本大震災の直後から,気仙沼市および南三陸町の調査記録活動を開始した。写真撮影と被災物収集の二本立てでおこなわれたこの調査記録活動は,生活の破壊の記録を残す活動であると同時に,破壊された生活の痕跡を残す活動でもあると位置づけられた。こうした活動の結果,写真3万点,被災物約250点等の資料を,リアス・アーク美術館は収蔵することになった。これらの資料をもとに,リアス・アーク美術館は,東日本大震災を「正しく伝える」ために,その「伝える意思と伝わる表現」を具現化した「東日本大震災の記録と津波の災害史」展を,2013年4月から,常設展として公開しはじめた。本展では,被災現場写真,被災物,キーワードパネル,歴史資料の四種の資料が展示されている。被災現場写真は,撮影時の撮影者の感覚や考えをあわせてキャプションとして展示することで,自身被災者でもある撮影者の経験そのものを展示する。被災物は,創作物語とセットでインスタレーションとして展示されることで,来館者に震災を自分のこととして経験させる強度をもつ展示となっている。キーワードパネルは,震災を「正しく伝える」ために既存の言葉が不充分であることを示しつつ,伝える言葉と表現を鍛え,来館者にも自身の言葉の吟味を迫る。歴史資料は,大津波がくりかえし「忘却」されてきた「過ち」を伝え,津波の歴史をふまえた「復興」の必要性をうったえる役割を持っている。こうしたリアス・アーク美術館の「東日本大震災の記録と津波の災害史」展は,被災現場を経験していない人に対して,まず震災の記憶の獲得をせまるものであり,被災現場を経験し地元で暮らしつづける人に対して,過去とのつながりのきっかけを提供するものでもある。それは震災をめぐる2つの断絶に橋を架ける試みなのだ。
内容記述: 研究ノート
Research Note
URI: http://hdl.handle.net/11149/2013
出現コレクション:2017年度・2018,No.20

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