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武蔵大学論集 「The Journal of Musashi University」 >
2015年度・第63巻 第2・3・4号 >

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タイトル: 社会諸科学から社会科学へ
その他のタイトル: From plural Social Sciences to the singular Social Science
著者: 柴垣, 和夫
SHIBAGAKI, Kazuo
キーワード: 社会科学
原理論
発展段階論
現状分析論
現代資本主義
発行日: 2016年1月30日
出版者: 武蔵大学経済学会
抄録: 本稿は,通常複数形で理解されている社会諸科学(social sciences)を単数形の社会科学(socialscience)に統合する必要性と可能性についての一試論である.具体的には,同じく資本主義経済を研究対象としながら,その分析レベルの抽象度の違いに応じて原理論・発展段階論・現状分析論の3 段階に分化して行われなければならないと主張した宇野弘蔵の経済学方法論を,とりあえずは法学の分野にも拡張する試みを指す.先行研究として,法学原理論の構想を展開された青木孝平教授の所説,法の段階論的考察の先駆とも言える渡辺洋三編著『現代法と経済』所収のいくつかの論文について紹介しコメントした後,発展段階論でそれぞれの各論を含めて経済学・法学・政治学に分化した社会諸科学が,なぜ現状分析論であらためて総合化され,単数の社会科学に収斂しなければならないのか,を論じる.それは一言で言えば,古典的資本主義では分化した経済・法・政治が,現代資本主義の下で境界を曖昧化し,それらが混交し多重性格化したからである.事例として,個別的には財政投融資や○○基本法など,大きくは環境問題などが挙げられよう.また現代資本主義を支える管理通貨制は,本来経済制度である通貨制度に政治権力が内部化しているし,労働基本権や生存権は,団体交渉制度や社会保障制度などの資本主義の本性とも矛盾する経済的・政治的システムに具体化されている.対象そのものが混交し重層化している以上,方法もそれを反映して総合されなければならないのである.そのことは,現状分析自体に新しい方法を要請するであろう.
URI: http://hdl.handle.net/11149/1805
出現コレクション:2015年度・第63巻 第2・3・4号

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