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武蔵大学論集 「The Journal of Musashi University」 >
2010年度・第58巻 第4号 >

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タイトル: 欧州ソブリン危機 : 金融支援とソブリン・リスクの波及効果について
その他のタイトル: European sovereign debt crisis: Spillovers of sovereign risk related to financial sector vulnerability
著者: 大野, 早苗
発行日: 2011年3月10日
出版者: 武蔵大学経済学会
抄録: 2007 年のサブプライムローン・ショックを契機とした世界金融危機の影響は終息しつつあるが,欧州ではソブリン危機の行方について関心が高まっている。ギリシャとアイルランドはEU とIMF の合同による支援枠組みの下で救済措置を受ける事態に陥ったが,これを契機にPIIGS 諸国のソブリン・リスクが欧州全域に波及する一つの経路が生まれた。また,欧州地域では域内における金融取引の占有率が高いが,公的部門における資金調達のうち海外からの借り入れに依存している国も少なくなく,投融資活動を経由してPIIGS 諸国のソブリン・リスクが周辺諸国へと波及する可能性もある。さらに,世界金融危機の最中において,金融市場の混乱を鎮静化するために公的資金投入による金融セクターの救済策が実施されたため,公的部門の財政の健全性が金融セクターの健全性に依存する構造が形成されることとなった。 本稿では,ユーロ参加国のソブリンCDS を用いて,域内におけるソブリン・リスクの波及効果を検証するとともに,ソブリンCDS に対する世界共通ファクターと固有ファクターの影響を検証した。世界金融危機下におけるソブリンCDS の上昇は共通ファクターの影響によるものであることが示唆されたが,2009 年6 月以降の期間については共通ファクターの影響が確認されず,金融セクターの脆弱性といった当該国固有の要因の影響が増大している可能性が示された。域内におけるソブリンCDS の波及効果に関して,2009 年春までの時期については,世界金融危機の影響が深刻であったアイルランドのソブリンCDS に対する周辺諸国のソブリンCDS の反応が見られたが,世界金融危機以降では,域内での経済規模も大きい財政赤字国のソブリンCDS からの波及効果が顕著に見られるようになった。
URI: http://hdl.handle.net/11149/1399
出現コレクション:2010年度・第58巻 第4号

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