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武蔵大学論集 「The Journal of Musashi University」 >
2010年度・第58巻 第1号 >

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タイトル: 流動性逼迫とカウンターパーティ・リスクの影響 : 世界金融危機下における金融機関のCDS スプレッドの波及効果に関する検証
その他のタイトル: Liquidity crunch and counterparty risk: Evidence from credit default swap spreads among major financial institutions under global financial turmoil
著者: 大野, 早苗
発行日: 2010年7月30日
出版者: 武蔵大学経済学会
抄録: 本研究はサブプライム・ローン問題を契機とする世界金融危機における内外の金融機関への波及効果を検証したものである。本研究では銀行,証券会社,保険会社を含む内外54 の金融機関を対象とし,これらの金融機関を参照企業とするCDS スプレッドを用いて分析する。 昨今の世界金融危機において,CDS スプレッドはリスク・プレミアムを反映して高騰したと指摘されている。リスク・プレミアムは投資家の危険回避度やマクロ経済環境の不確実性などの影響を受けて変動するが,投資家の危険回避度は流動性制約の影響も受ける。したがって,各金融機関のCDS スプレッドには市場流動性やマクロ経済環境の不確実性などが反映されているものと考えられる。 各金融機関のCDS スプレッドに影響を与える要因としては上記のような共通ファクターの他に,金融機関同士の相互依存性が挙げられる。今回の世界金融危機ではカウンターパーティー・リスクが改めて認識されたが,昨今の金融市場は金融保証取引や各種のデリバティブ取引の拡大などにより複雑さを増している。 本研究では構造VAR モデルを用いた上で,内外の金融機関のCDS スプレッドに対してどのような要因が影響を及ぼしていたかを,各金融機関の相互依存性,共通ファクターの影響を考慮して検証する。共通ファクターとしては,株価指数とleading index をマクロ経済環境の不確実性の代理変数として,TEDを市場流動性の代理変数として用いる。 推計結果としては以下のような結果を得た。まず,各金融機関のCDS スプレッドの上昇要因として,マクロ経済環境の不確実性の増大が示唆された。市場流動性の影響に関しては,短期負債に偏った資金調達構造をしていた米投資銀行などに対する影響がとりわけ大きく,また,公的支援を受けた金融機関のCDS スプレッドに対する流動性逼迫の影響も大きかった。概して,銀行のCDS スプレッドのほうが保険会社のCDS スプレッドよりも市場流動性の影響を受けやすい傾向がみられたが,保険会社のなかでもデリバティブを駆使して最低支払額保証付きの変額年金を主力商品としていた保険会社に対する影響も顕著であった。
URI: http://hdl.handle.net/11149/1383
出現コレクション:2010年度・第58巻 第1号

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