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武蔵大学論集 「The Journal of Musashi University」 >
2009年度・第57巻 第3・4号 >

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タイトル: 利益の持続性と利益のボラティリティ
その他のタイトル: Earnings Persistence and Earnings Volatility
著者: 海老原, 崇
発行日: 2010年3月10日
出版者: 武蔵大学経済学会
抄録: 本研究では,利益の持続性の源泉ないしは影響要因として利益のボラティリティに注目し,(1)利益の持続性と利益のボラティリティの関係,(2)利益の持続性と利益のボラティリティの構成要素の関係,および(3)ERC(利益反応係数)と利益のボラティリティの関係を検証した。(1)の検証の結果,本研究の仮説1「利益のボラティリティが小さい(大きい)ほど,利益の持続性は高い(低い)」および仮説2「利益のボラティリティが小さい(大きい)ほど,利益の持続性の回帰における決定係数は高い(低い)」は支持された。また,経済的ボラティリティや会計的ボラティリティよりも,その両者で構成される利益のボラティリティの方が利益の持続性と大きく関係していることが示された。また,(2)の検証の結果,経済的ボラティリティが大きい場合,利益のボラティリティにダイレクトに反映されることを防ぐために,アクルーアルズを用いた調整を行っている可能性が示唆された。また,営業キャッシュフローとアクルーアルズの負の相関が高くなるような報告利益管理が,利益のボラティリティを低下させ,利益の持続性および予測可能性の向上をもたらす可能性が示された。一方,(3)の検証の結果,ERC と利益のボラティリティの明確な関係は観察されなかった一方,ERC と営業キャッシュフローのボラティリティとの明確な関係が観察された。この結果の原因として,(1)利益およびその構成要素の持続性が市場で合理的にプライシングされていない可能性,(2)株式市場がアクルーアルズによる利益のボラティリティの調整を理解し,利益の持続性のうち経済的ボラティリティに起因する部分のみを正しくプライシングしている可能性が示唆された。本研究における検証の結果,経営者の利益平準化に対するインセンティブの一端が明らかになったとともに,利益の持続性を高め利益の質を向上させるための基準設定等に示唆を与えることが期待される。
URI: http://hdl.handle.net/11149/1352
出現コレクション:2009年度・第57巻 第3・4号

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