武蔵大学論集 「The Journal of Musashi University」 >
2007年度・第55巻 第4号 >
このアイテムの引用には次の識別子を使用してください:
http://hdl.handle.net/11149/1317
|
タイトル: | 経営財務戦略と企業価値最大化目標の実現 |
その他のタイトル: | To Realize Value Maximization from the Strategic Corporate Finance View |
著者: | 久保田, 敬一 |
発行日: | 2008年3月15日 |
出版者: | 武蔵大学経済学会 |
抄録: | Jensen, Murphy, and Wruck(2004) は, 企業は長期価値最大化(“enlightened value maximization”)を唯一の目的として経営戦略を立てるべきでありBalanced Scorecard(financial, customer, learning and growth, and internal business process)の方法などは複数の目的が設定されているためこれを企業内で実現することはできないと批判する。一方,Robert Kaplan (2006)はこれに対し,“Beyond the value of information to plan and guide the journey, communicating and sharing information creates intrinsic motivation for the employees, as they learn about the enterprise’s objectives and how they can contribute to organizational success.” と反論する。 Jensen, Murphy, and Wruck(2004)は,これまでの短期の企業価値最大化基準に対し,やや長期のどちらかといえばstakeholder view を提示しているのであるが,それを提示する場合には,経営戦略の観点からさらに,Porter and Kramer(2006)が述べるように,企業内部・外部との関連性に特に注目しながらこれを実現すべきであり,かれらの言う“Strategic CSR”,すなわち,やはりより操作性のあるフレームワークが必要である。 企業価値最大化につながるであろう業績連動型の経営者報酬は,Jensen,Murphy and Wruck(2004)が過大なstock options の付与について批判的であったが,現在の米国ではrestricted stock,とりわけperformance shares が主流となって来ている。しかし一方,Holmstrom and Milgrom(1991)やTirole(2006)が示すが如く,multitask principal-agent 理論においては,必ずしも業績連動型の経営者報酬プランが最適契約として導かれないことにも注目すべきである。 本稿は,現在のコーポレートファイナンス論における 企業価値最大化基準を究極のベンチマークとしながらも, 古くはFama and Miller(1971),Myers(1977)やJensen and Meckling(1976)が理論分析を行った債権者と株主と間のコンフリクトの問題は所与として,資本構成決定のための法人税の下での節税効果,また情報の非対称性の下でのシグナル均衡理論からの観点に触れながら,実際の経営戦略の実行において,どのようなよりオペレーレショナルな基準が必要となるかを,Robert Kaplan 教授らが展開するBSC およびTDABC を中心概念としながら,経営財務戦略の観点から最適な企業価値最大化の実現を模索する。 |
URI: | http://hdl.handle.net/11149/1317 |
出現コレクション: | 2007年度・第55巻 第4号
|
このアイテムのファイル:
このアイテムに関連するファイルはありません。
|
このリポジトリに保管されているアイテムは、他に指定されている場合を除き、著作権により保護されています。
|