DSpace コレクション: 2003-03-22
http://hdl.handle.net/11149/151
2003-03-22
2024-03-28T23:02:30Z
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落書き問題と地域社会の対応 : 地域空間の管理をめぐって
http://hdl.handle.net/11149/221
タイトル: 落書き問題と地域社会の対応 : 地域空間の管理をめぐって
著者: 武田, 尚子
抄録: 市街地の落書きについて,近年,これまでにない対応がみられるようになった。例えば,県レベルで,落書きを禁止する条例が制定されるようになった。また,街路全体をカバーする防犯・監視カメラが設置されるようになった。本稿では,岡山県岡山市,栃木県大田原市,東京都新宿区の3つの事例を取りあげ,地域共同管理論の視点から,各事例の特徴を考察した。地域共同管理論で,管理の主体として着目されているのは町内会・自治会である。しかし,調査した事例では落書き問題に対して,行政や当該町内会・自治会の対応には限界があり,近接する地域の住民のネットワークや労働組合が地域共同管理に関与していた。このような当該町内会・自治会所属とは異なる人々が地域共同管理に参加することが地元のメディアの関心をよんだ。そして,地元メディアによって報道されたことが,結果的には落書きに対する抑止力につながっている。本稿では,落書きというリスクに対して,町内会・自治会以外にどのような人々がどのような過程を経て,共同管理の担い手として参加し,複合的な地域共同管理の態勢を構成しているかを明らかにした。
2003-03-21T15:00:00Z
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「女性国際戦犯法廷」から「問われる戦時・性暴力」へ : NHK・ETV2001「シリーズ戦争をどう裁くか第2回」改編が提示する諸問題
http://hdl.handle.net/11149/222
タイトル: 「女性国際戦犯法廷」から「問われる戦時・性暴力」へ : NHK・ETV2001「シリーズ戦争をどう裁くか第2回」改編が提示する諸問題
著者: 小玉, 美意子; 小林, 直美
抄録: ~NHK・ETV2001『シリーズ戦争をどう裁くか 第2回』は,当初旧日本軍による性奴隷制を裁いた<女性国際戟犯法廷>(以下,<法廷>)を主題として放送される予定だったが,放送寸前に『問われる戦時性暴力』というタイトルに変えられ,内容も大きく変更された。この改編の分析と実態調査の過程で,NHKおよび日本の放送が内包する問題点が明らかになった。即ち,NHKによるこの改編は,判決の削除と<法廷>批判の挿入により,昭和天皇および旧日本軍を有罪とする<法廷>を,視聴者の目から遠ざけ,意味の無いものにしようとした。これは,日本における主流メディアの天皇批判タブーと,その裏面にある底辺の女性忌避の実態を示すものである。また,同法廷の主催団体で取材協力したVAWW-NETジャパンから「番組改竄」として提訴されたNHKは,「右翼からの圧力はなかった」とした。しかし,その態度こそが右翼を守る結果となり,NHKが主張する狭い意味での編集権さえないがしろにし,言論の自由を危機に陥らせた。さらに,放送局と制作会社の階層構造が,言論・表現の自由の実践に大きな障害となっていることが分かった。総じてこの改編問題は,現代的表現の自由の解釈と実態をめぐる日本メディアの問題点を浮き彫りにした。
2003-03-21T15:00:00Z
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暴力に依拠する「正統的」権力 : ギデンズ国民国家論の考察から
http://hdl.handle.net/11149/220
タイトル: 暴力に依拠する「正統的」権力 : ギデンズ国民国家論の考察から
著者: 尾形, 泰伸
抄録: 「権力」は,社会学における基礎概念のひとつとして,様々な論者によって論及されてきている。アンソニー・ギデンズもそのひとりであり,彼は権力を社会のダイナミズムのなかに位置づけるという貢献をなした。本稿は,そうしたギデンズの論考に準拠しつつ,権力の歴史的な生成過程と今日的な有り様とを,とくに暴力との関係のなかで描く試みである。まず,近代社会の分析に国民国家を組み込むことの必要性を確認した。資本主義,産業主義は近代を切り開くうえで枢要な役割を果たしてきたであろうが,19世紀以降の近代社会ではそれらと国民国家という形態とが緊密に結びついているので,これらのうちのどれかを取り出すのではなく,その複合的な有り様を描くことが肝要なのである。そこで,こうした社会的諸条件のもとで,近代特有の「軍事的暴力」と「監視」という2つの制度的現象が生成されてくるプロセスを検討し,権力と暴力の関係に迫った。その結果,人びとの生活を直接的に管理・監督する権限としての「権威的資源」にもとづいた「正統的」権力であっても,その確立にあたって,軍事的暴力手段という「配分的資源」の独占的所有を基盤としている可能性が明らかにされた。政治と経済の「分離」と「交錯」を解きほぐしてみればわかるように,権力もまた,資本主義,産業主義,国民国家の複雑な絡みあいのなかで立ち現れているのである。
2003-03-21T15:00:00Z
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交換の形式にみる規律と技術
http://hdl.handle.net/11149/215
タイトル: 交換の形式にみる規律と技術
著者: 宇賀神, 綾子
抄録: 交換は,特定の物品と貨幣とを相互に計り合って引き換える行為である。貨幣を媒介とする交換の形式において,人はモノの価値を種別し,照合し,選択することを繰り返す。価値は,常に流動し変動する。本稿では,価値を,対象となるモノに備わる属性のうち,行為者の側に認知によって抽出・表層化し,選別でもって規定および志向されたものと仮説する。価値は,人為的に創出された産物である。そこでは,モノの属性から或る要素を取り出し,アタイとして計り,価値として規定する,社会的技術が実践されている。その技術は,モノに備わる特定の属性を抽出し,交換過程における目安,価値の表示内容として配置することの構築を指す。それは,個別に計られたアタイの価値化であり,価値を目に見える形で決定する作法である。価値を換算するそうした技術は,その場所特有の,交換についての秩序だった規律を前提とする。その規律に基づいて,新たな交換に対する見込みや保証が考慮される。価値を計る上で,該当対象が再度交換可能か否かの予測であり,その空間に適用される交換の規律の実践である。規律と見込みを伴って,交換の形式は成立する。
2003-03-21T15:00:00Z